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金融緩和だけで、緩やかなインフレに成るのか? その2

前回の続きです。
今回は、【紙幣の増発だけではインフレにはならない。】について。

日銀に対して金融緩和を迫る人の中には、流通している紙幣の量が少ないから、日本がデフレになっていると考えている人も少なからず存在しているようです。
その方達の考えはおそらく、『物価は金と物の相対価値なんだから、紙幣の供給を増やせば紙幣の価値は減少し、相対的に物価は上昇する。』と考えているのではないでしょうか。
テレビのコメンテーターの中には、『需給ギャップが有るんだから、その分通過を供給しないとデフレに成る』という主張をする方も存在します。

僕はこの意見は、かなり論理が飛躍しているように思えます。
何故なら、人の胃袋の容積はある程度決まっていますし、人が必要としているテレビやPCの数も、ある程度の個人差はあるとは思いますが、決まっています。
かなり特殊な人でもない限り、家に部屋が3個しか無いのに、10個のテレビを購入しようとは思いませんし、お金の量が増えたからといって食べる量が比例して増えるわけでもありません。

話は少し変わりますが、僕は以前、MMORPG系のネットゲームにハマっていたことがあります。
ゲームをやらない方の為にゲームを簡単に説明しますと、ゲーム内で行うことは主に3つです。
・アイテムやお金を得る為に、モンスターと戦う【狩り】
・ゲームのストーリーを進める為のクエスト
・自分の要らないアイテムを売却し、必要なアイテムを購入するための資金を得る【露天販売】
細かく説明すると、もっと沢山やることは有るのですが、大きく分けるとこの3つです。

ネットゲームでは、最初の項目の【狩り】によって、運営側からプレイヤーにコインが供給され続けます。
運営は様々な方法で、ゲーム内のコインの量を管理しする為にコイン回収をしようとしますが、回収しきれず、ゲーム全体で見るとコイン量は増え続けます。
これは、金融緩和が行われ続けている状態なので、普通に考えればインフレが起こります。
しかし、ゲーム内で実際にインフレがおこるのかといえば、そうではありません。
確かに、皆が欲しがるような希少性のあるアイテムは価格が上昇し続けます。
ですが、安定的に供給され続けていて、供給が需要を上回る程存在するアイテムの価格が上昇し続けることは有ません。

しかし、この様なアイテムも、ある日を境に価格が急上昇する事があります。
それがどういう時かというと
・システム改変等で、本来使用用途が無かったアイテムを、使用しなければならない状態になった場合。
・今まで短時間狩りを行えば簡単に入手できたアイテムの出現率が下がり、入手困難になった場合。
つまり、ゲーム内において一般的な物価が上昇する要因は、需要増の場合と供給減の場合のみで、通貨供給の増加によって価格変動は起こりません。
通貨供給によって価格変動するのは、希少性のある高価な物のみです。

この事実から分かることは
通貨供給を行うことによって、物価の二極化(安いものは価格変動せず、高いものはより値上がりする)ということで、政府や国民が期待するような、人件費を含めた全物価が緩やかに上昇することは無いことを示しています。

当然、現実の経済のほうがより多くの要因が複雑に絡んでいますから、私もゲーム内での事と現実の経済が全く同じ様に動くとは思ってません。
しかし、参考に出来る部分はあるのではないでしょうか。
今、通信技術の発達やPCの発達で、昔より少ない人数で会社を維持することが可能となっています。
この様な現状では企業は採用を絞る為、労働市場で人が余ってきています。
この状態で、通貨の量が2倍になれば、従業員給料は2倍になるのでしょうか。
僕はとてもそうは思えません。

今のデフレを根本的に解決する為には、供給過多と需要不足をどうにかしないと解決しないのではないでしょうか。
そしてこれらの解決は、日銀の仕事ではなく政府の仕事なのではないでしょうか。
しかし今の政府は、自分たちの責任を棚上げして、デフレの責任を日銀に押し付けています。
ですが、日銀の仕事は通貨の価値を保つことであって、雇用の創造や景気回復は仕事の範囲外です。

では、需要不足をどう解消するのか。
自民党政権時代は、民間の需要減を補うために、政府が公共投資によって需要を創造していました。
しかし、大手マスコミが公共事業を只の無駄遣いと報じ、民主党を持ち上げて政権交代させ、ただでさえ縮小傾向にあった公共事業は、大幅に削減されました。
その一方で、肌で感じる景気は、震災があった去年を上回るほど悪くなっています。
本当に無駄で、行うことで何も生み出さない公共事業は行う必要はありませんが、必要と思われる公共事業は、需要不足解消のためにも、積極的に行うべきではないでしょうか。
もちろん、ただ公共事業を増やし続ければ、日本の財政に大きなダメージを与えます。
税制改正などを含め、財政収支を見なおす必要はあるかもしれません。

次に供給過多ですが、これは、業績の悪い本来淘汰されるべき企業には、廃業して頂く様にすべきだと思います。
当然、廃業が増えればそこで働かれていた方は失業するわけですが、その方たちが路頭に迷わないように、失業者対策はしっかりと行うべきだと思います。
例えば、今労働市場では、雇用のミスマッチが起こってます。
労働市場で人が余っているにも関わらず、介護分野では人材が不足しています。
これは介護分野での労働環境が悪いことも原因があると思います。
この労働環境を改善し、供給過多の事業分野から人材を移せるようにし、供給過多を解消すれば、採算が合わないような仕事を受注する業者も減少するでしょうし、デフレの解消にも成るのではないでしょうか。

これらの仕事は、日銀の仕事ではなく政府の仕事です。
僕が文字で書くのは簡単なことですが、実際に行うのは非常に困難なことだとも思います。
しかし、政府は責任を日銀に押し付けるのではなく、自分の仕事をまっとうすべきではないでしょうか。

地理的にデフレを考える

このブログでは何度目になるか分かりませんが、またまたデフレについて考えてみようと思います。

日本のマスコミは相変わらず、賃金低下によるデフレ・スパイラル等、日本のデフレを日本国内の要因のみで語るのがお好きなようです。
少し前に日本でヒットした【デフレの正体】でも、デフレの原因は日本の生産労働人口が減っていることだと言っていましたしね。
しかし、この様に国内要因だけに焦点を当ててデフレを考えるのはどうなんでしょう?
日本は鎖国しているわけではありませんので、国内要因だけでなく、海外要因によってデフレが起こっていると考えるべきではないでしょうか。

少し話は変わりますが、先日、テレビ東京系の番組未来世紀ジパングという番組で、脱中国について放送されていました。
VTRで紹介されていたのはアメリカの一企業の例でした。

簡単な内容を書きますと、ある独自の製品を製造販売していた企業が、中国への発注を見直す為に、リスクを洗い直しました。
その結果、様々なリスクが有る事が分かって来ました。
例を挙げると

・中国ではインフレが進むことによって人件費の上昇圧力が絶えずかかっており、毎年人権時は上昇傾向にある。
・中国では秘密保持が難しく、商品を中国へ発注下時期と同時期に、模倣品が出まわるようになってしまった。
・品質が安定しない。

といった問題点が挙げられていました。
そして、全てのリスクを金額に換算した上でコストを計算し直すと、中国で生産してアメリカに輸入する場合とアメリカ国内で製造する場合で、価格差がないことがわかりました。
今後も情報が漏洩し続けたり、製品への信用が下がる事で更なる損失に繋がる可能性が有るというデメリットを考えた場合、アメリカ国内で生産したほうが良いという結論に達し、その企業は生産を中国から撤退し、国内に帰ることにした…
この様な企業が増えて国内回帰が進めば、アメリカ国内の失業率も下がって景気に好影響を与える…

といった内容。
この様な番組の流れでは、当然
『では日本もアメリカに習ってリスクを含めて原価を再計算し、脱中国を進めれば景気が良くなるのでは?』と考えたくなりますが、日本とアメリカとで絶対的に違う部分があります。
それは、距離です。
中国からアメリカに輸出入する場合、太平洋かユーラシア大陸を横断する必要があります。
陸路にしろ海路にしろ、日本と比べるとコストと余計に時間がかかります。
生産委託や品質管理をする場合は、中国にアメリカ人スタッフが訪問するといったことも度々有るでしょうから、それらのコストも含めると結構な差がでます。

このコスト差は、中国に発注する場合の損益分岐点に影響を与えます。
つまり、日本の場合は中国などの生産拠点に近い分だけ、中国発注した場合の損益分岐点が下がり、アメリカの場合は遠い分だけ損益分岐点が上昇します。

また、国同士の距離による、それぞれの国や文化に対しての知識に差も、仕事をする上で影響するのではないでしょうか。
日本と韓国・中国は、仲が悪いとはいわれていますが、距離が近い分だけお互いに対する知識がそれなりにあります。
どの様な国民性か、どの様な文化かということが、距離が近い分だけ情報を得やすい状態にあります。
しかし、距離が離れればどうでしょう。
中国と同程度の人口で中国以外の市場として注目されているインドは、中韓と比べて距離が離れている分、得られる情報も少なくなりますし、親近感も薄れているのではないでしょうか。
中韓と比べ、インドの人や文化に対する理解も無いのではないでしょうか。
事前に情報収集が出来る程余裕のある会社ならともかく、資本力のない中小企業の場合、そう簡単に進出できるものではありません。
日本よりも中韓から遠いアメリカは、日本人がインドに対して理解が少ないのと同様、アジアに対して理解が少ないと考えられます。

つまり、アメリカの方が撤退しやすい状態にあり、日本の方が撤退しにくい状態にあると考えられます。

アジア諸国は日本に比べると賃金が安く、中国沿岸部の中国国内から見れば比較的高所得者ですら日本人の賃金の半分程度の給料。
大学を出ていない農村部から出てきた人や、その2世の方たちの所得は日本円換算で月に2万円程といわれています。
最近民主化されたミャンマーの賃金は、これよりも低い様です。

この様に賃金の低い国が近くにあると、単純労働のような特に特殊技術が必要ではない仕事は賃金の低い海外に流出します。
単純労働が日本から海外に流出するということは、労働者が日本人から海外の方に移行するということなので、当然、日本の労働市場で人が余ることになります。

結果、労働需給の関係から労働者の賃金が下がり、単純労働の海外移転によって物価が引き下げられ、デフレと呼ばれる現象が起こっている。。
こう考えると、日本だけで長期的なデフレが続いている現象も、納得できるのではないでしょうか。

個人的な意見ですが、これらの要因でデフレが起こっている場合、日本でデフレを解消する為には、日本人とその他アジアの方々との賃金格差が無くならない限りは無理でしょう。
日本への運賃・品質差等によって、全く同じ賃金に成る必要はないかもしれませんが、賃金格差が縮まらない限りは今の状況は続くと思います。


アベノミクスで、給料は増えるのだろうか?

民主党政権から自民党政権に変わり、市場の雰囲気が一変したことで、アメリカの株価は史上最高値に達し、日本の株価も一時1万2千円(2013/03/07現在)に到達しました。
ここ最近の株価の動きに触発されたのか、株式情報誌や四季報などが売り切れているというニュースも聞くので、市場が冷え込んでいるよりは盛り上がっている現在の方が良いとも言えますけどね。
安倍政権が誕生し、とりあえずの方向性を示しただけで市場が激変するわけですから、相変わらず市場というものはよくわかりませんね。

しかし冷静に考えると、日本株の動きはともかくとして、アメリカの株式市場の動きについては安倍首相は全く関係がなく、また、日本国内の不動産価格も政権交代前から上昇し、安倍政権誕生のタイミングと日本の貿易赤字のタイミングが重なっていることを考えると、アベノミクスという言葉をマスコミが過剰に報道し、言葉だけが独り歩きしている感じがしないでもなかったり。

そんなアベノミクスですが、政府要人から次々と
『企業が給与を挙げないと、アベノミクスは成功しない!』
という内容の発言をしだしましたね。
ここ最近、マスコミが物価高だけ進行して給料がそのままの可能性を報道しだしていますので、当然といえば当然でしょう。
この政府要人からの要請に答えてか、一部企業が賃上げを宣言しだしましたが、この動きは全ての企業に広がっていくのでしょうか?
今日はこのことについて考えていきます。

賃下げの原因としてよく挙げられるデフレスパイラルですが、このブログでは何度も主張してますが、賃下げの原因がデフレスパイラルというのは嘘です。
デフレスパイラルそのものが嘘なんですから、今の状態の前提条件にデフレスパイラルを置いている限り、今の状況を反転させてインフレスパイラルに持ち込むことも不可能だと思われます。

では、私が何を根拠にデフレスパイラルは嘘だと主張しているのか。
この疑問に答える前に、デフレスパイラルの構造を簡単に説明すると、以下の様な流れがデフレスパイラルと呼ばれています。

・物が売れないので企業が値引きをする
   ↓
・値引きをすると利益が上がらないので、従業員給与を削減する
   ↓
・受け取り給与が下がったので使えるお金が減り、物を買わなくなる
   ↓
・物が売れないので… 以下繰り返し

一見すると筋が通っているように見えますが、実際にはかなり変な理論です。
この流れをよく見てもらえればわかりますが、この理論は日本が鎖国状態で、海外と取引していないことを前提とした理論です。

まず最初の項目から見てみましょう。
物が売れないので企業が値引きし、日本製品が海外製品と比べて割安なのであれば、日本国内だけでなく海外でも売上が伸びます。
値引きして利益が上がらない、もしくは下がるのは、市場から見てその製品がまだまだ割高か、もしくは必要ない製品だからです。
因みにこの画像は、アメリカと日本のテレビ価格の違いです。
米テレビ価格

30年間デフレで苦しんでいる日本と比べて、アメリカでの価格のほうが安いのは何故でしょう?

次に、【値引きすると利益が上がらないので、従業員給与を下げる】
ですが、この理屈で言うと、企業は利益が下がっているから、仕方なく人件費を削っているという印象を受けます。
しかし、本当にそうなのでしょうか。
企業。特に製造業は、製造拠点を海外に移すことで製造単価を下げて来ました。
日本で20万円出して人を雇うぐらいなら、中国の都市部へ出稼ぎに来ている農民工を月2万で雇った方が、固定費を下げられる分企業に利益が出ます。
中国の人件費が高騰しつつあるというのであれば、ミャンマー等のまだ給与が上がっていない国へ進出することで、低賃金を維持することができます。
日本企業はデフレスパイラルによって利益が毎年減少しているはずが…
キャノンがバブル期以上の過去最高利益を出したのは2007年です。
トヨタの最高益は2008年・ユニクロは2012年・ブリジストンも2012年。。。
利益に応じて人件費が返送するのであれば、既に給与は上昇していなければなりません。

次の、【受け取り給与が下がったので使えるお金が減り、物を買わなくなる】
これも、よく考えれば変な話です。
給料が減ることで使えるお金は減りますが、物価が下がっているのであれば今までと同じかそれ以上の量のものが買える事になります。
簡単にいえば、今から20年ほど前は、40インチのプラズマテレビが150万円程していました。
しかし今現在では40インチのもので8万円を切り、50インチのものでも15万円程度で購入出来ます。

プラズマテレビ比較

20年前では高額所得者しか手の出なかった様なものが、庶民でも手に入れることが出来る状態です。
こういうことを書くと
『150万円で売れていたものが8万円でしか売れないんだから、差し引き142万円分売上が落ちるじゃないか!』と主張する人も出てきますが、国民は物が安く買えてお金が余れば他の物に消費するので、国全体としての消費が落ち込むわけではありません。

下のデータは内閣府からダウンロートしてきたデータですが、家計最終消費支出の民間最終消費支出も、18年前の1994年から比べてさほど変化していません。
厳密に言うなら、1994年と2012年を比べると2012年の方が多いです。

内閣府

これらのことからも分かる通り、マスコミや政府が解説に利用しているデフレスパイラルは嘘だとわかります。

では何故デフレで物価が下がっているのか?
先日、日銀がデフレを引き起こしている品目を調べたところ、物価を引き下げているのは19品目のみということが分かったようです。
其の19品目とは、このようなもののようです。
(ネットから拾ってきた画像)

デフレ19品目


パソコン・ビデオレコーダー・ゲーム機等が上位に並んでいますね。
ここでひとつの疑問が出てきます。
というのも、パソコンもゲーム機も、実売価格は昔とそんなに変わってはいません。
むしろゲーム機にいたっては、今度発売されるPS4が4万円台ということを考えると、値上がりしているのではないかとすら思えます。
しかし、実際には物価の足を引っ張っている品目なのです。

では何故足を引っ張っているのかといえば、電化製品は単純に価格を比べているわけではなく、性能も考慮に入れて価格を計算しているからなんです。
簡単に説明すれば、パソコンの性能が10倍になった場合、パソコン価格も10倍で販売されなければならないということです。
数年前に20万円した当時の最新パソコンと、今現在、当時から比べると10倍の性能がある今の最新パソコンが20万円で販売されている場合、パソコンの物価は10分の1になったとして計算されます。
実際にはもっと複雑な計算をしているとは思いますが、簡単に説明するとこんな感じです。
つまり、僅かな期間で性能が上がる電子機器は、実売価格が同じでも価格は下落しているとして計算されるわけです。
また、パソコン・ノートパソコン・携帯オーディオプレーヤー・カメラ等は、最近登場したタブレット端末やスマフォと機能が被る部分も多く、需要そのものが低下傾向にあるとも考えられます。

これらのことを勘案すると、デフレ指数そのものがおかしいとも考えられる。
ということは考え方によっては今の日本は
デフレでもなく大手企業の利益が圧迫されているわけでもないのに賃金が上がらない状況とも言える。
そして、賃金が上昇しない最大の理由は、製造業の海外移転により、雇用市場の需給悪化だろう。
労働市場では、企業は苦労することなく必要な人員を雇うことが出来る。
本来であれば賃金上昇は、必要な人材を雇う為、そして雇った人材が流出しない為に行うものだが、今の労働環境ではこれらのことを行う必要がない。

この状況で、賃金上昇が全業界に広がると考えるのは、少々楽観的すぎるのではないだろうか。

金融政策でデフレは解消できるのだろうか

株価はあっとゆう間に13,000円台に突入し、円も一時100円間近まで下落しましたね。
街角景気は回復傾向になり、東京の百貨店でも高級品が売れ始めたようです。
この流れは、先日行われた日銀政策決定会合が切欠となりました。

日銀発表を簡単に説明すると、2年で2%の物価上昇を実現するために、日銀のバランスシートを2倍にしますということ。
バランスシートを拡大させるとは、簡単にいえば、日銀が大量のお金を刷って、そのお金で国際や株式などの金融資産を買いまくるということ。

では果たして、この金融政策で本当に物価が上昇して景気が良くなるのかといえば、僕はとてもそうは思えません。
というのも、日銀がお金を刷る事と、今起こっている賃金低下は関係がないと考えるからです。

日銀がお金を刷ればデフレが解消するという意見は、宮崎哲弥氏などがテレビ番組等で発言されています。
この理屈を簡単に言うと物価はものとお金のバランスによって決定するから、お金の料を増やせば物の価値は上昇するといっているわけです。
確かに、この理屈は一見すると正しいようにも思えます。

しかし、僕達が学校で習った物価は、物とお金のバランスによって決定していたでしょうか?
思い出して欲しいのですが、僕達が習った物価は、需要と供給によって決定していたのではないでしょうか。
考えてみれば分かりますが、3LDKの家に住んでいるテレビを5台所有している人が、市場にあるお金の量が2倍になったという理由で、更にテレビを5台買い増して10台所有するでしょうか?食べる量が2倍に増えるのでしょうか。
市場に出回っているお金が2倍になることで、消費者がそれぞれ2倍の消費を刷るのであれば、金融緩和は意味があるでしょう。
しかし、需要が増えないのであれば、市場にただ現金があるだけで意味自体はほぼ無いといえるでしょう。
テレビに出演している経済コメンテーターは、日本が経済成長するためには、一人あたりの生産性(※)を上昇させなければいけない!と声高に叫びます。
この意見自体は正しいですが、需要が追いついていない状態で生産性を伸ばしても、デフレが悪化するだけです。

(※)生産性という言葉は、色んな意味を持つようですが、この場では『少ない労働力でより多くのものを生産する』という意味で使用しています。

日本の経済成長期や、今のような成熟期の物価の上下は、需要と供給によってある程度理解することができます。
簡単にざっと書いてみますと

日本の戦後は、物自体が無いのにもかかわらず、需要はかなり旺盛だった。
この様な状況では、生産者は供給を増やせば増やす程、儲けることが出来たので、大量に人を雇い増やしながら、設備投資をして一人あたりの生産性を上昇させていった。
需要が供給を上回る経済環境では、できるだけ多く人を雇い、最新の機械を導入して他者よりも生産数を増やすことが業績を上昇させる唯一の手段なので、人と融資の奪い合いが起こります。
人を多く雇った上で継続して会社に残って貰う為には給料を上げなければなりません。
雇用者のこの様な行動により、労働者は同じ労力でより多くのお金を得ることが出来たので、そのお金で更に欲しいものを買い、さらなる需要を生み出していった。

この時代は民間需要だけでなく、国としてもインフラ整備が進んでいなかった為、公共事業による需要も旺盛だった。
またこの当時の公共事業は、経済拡大を更に促進させるものも多かったと考えらる。
道路・電気・鉄道を通すことで、人や物の行き来が更に容易になり、人々の需要を更に拡大させていった。

これが、戦後から高度経済成長期で見られた動きだと考えられます。

しかし、バブル期へ向うに連れて、この動きにも変化が訪れます。
どのような変化といえば、需要と供給のバランスの崩壊です。
人が物を欲しいと思う気持ち自体はどの時代にも変わらず存在しますが、それを金額ベースに換算した場合は話が変わってきます。
テレビ・冷蔵庫・洗濯機・車。生活に必要だと思われるものが全ての家庭に行き渡ってしまえば、少なくともこれらの物に関しては、需要が激減します。
何故なら、今までの市場は、物を新規で購入する人と、買い換える人で成り立っていたわけですが、物が行き渡ってしまえば、そこから新規で購入する人がなくなり、買い替え需要のみになるわけですから、需要は激減するわけです。

この需要が激減している状態で、一人あたりの生産性を上昇させるとどうなるでしょうか。
単純に考えて、需要がないのに供給を増やせば、そのままの価格で販売しても売れ残るだけなので、価格競争に突入して価格は下落し続けます。
ここで企業が生き残る為に取る行動は、更に生産性を高めることです。
工程をオートメーション化し、同じ人員でより多くのものを生産する。
この行動により、より低価格で製品を作ることが可能になり、価格競争でもより優位に立てるわけですが、皆が同じ事をやれば供給される物の量は更に増加し、需給バランスは崩壊してしてしまう。
結果として、物価はさらに下がり、製造に携わる人は減少します。

この様な流れが起こっているのは、日本だけではありません。
先進国ではどこも同じような事が起こっています。
その昔、ものづくり大国だったアメリカは、今では製造業に携わっている人が激減しています。
しかし、アメリカではデフレが起こらずに日本でデフレが起こったと言われています。

この原因は色んな所でも指摘されていますが、単純に政治の問題ではなく、雇用問題が関係していると思われます。
日本は正社員を一度雇えば、簡単には解雇することができません。
しかし、アメリカでは日本よりも簡単に解雇することが可能です。

この様な環境の場合、日本のように解雇が出来ない状態であれば、企業の限られた利益を多くの社員で分けなければならないのに対し、アメリカでは不要な社員を解雇し、残った社員のみで分け合うことが可能です。
つまり、日本の場合はオートメーション化によって生産効率を上昇させたとしても、余った人員を解雇することが出来ない為、結果として一人分の給料が増えることがなく、価格競争で売上が下落すれば、社員の一時金などがカットされる場合もあるのに対し、アメリカでは労働力が余れば費用はかかりますが解雇が可能なので、生産性が上昇すればその分給料にも反映されやすい環境だったと思われます。
その結果、日本では給料が上昇しない代わりに失業率が低い状態で維持され、アメリカでは解雇されずに生き残った人の給料は上昇しましたが、解雇され流人が増える分、失業率が高い状態で維持されていると考えられます。

今、世界的に若者の失業率が上昇していると話題ですが、これも同じ理由で説明出来ます。
日本の場合は解雇が難しいので、人員整理をする為には新規採用を抑える必要が有り、アメリカの場合は解雇が日本に比べれば容易にできるが、会社都合だとそれなりの金額を労働者に支払う必要があるので、費用を抑えた形で人員整理をしようと思えば、やはり新規採用を抑えなければならない。

この世界的な若者の就職難と物価下落は、オートメーション化などに代表される技術の進歩と、それによる供給過剰で説明出来ます。

なので、日銀がいくらお金を刷った所で、根本に解決には成り得ないと思われます。
もっとも、日銀が円の信用力を極限まで貶めるほどの行動を取れば別ですが、その時は景気云々ではなくただのキャピタルフライトなので、状況は更に悪化する可能性もありますが。。

といっても、過去の記事で何度も言っていますが、景気の気は気持ちの気なので、この金融政策で景気が良くなると思い込み、皆が消費活動を活発にすれば、景気は良い方向に向うかもしれません。
日本国民としては、良い方向に向かって欲しいと願っているのですが、どうなることやら。。。

デフレに対する個人的な考え

私は自身が書くこのブログで、ある時は『日本はデフレでは無い』、またある時は、日本がデフレであることが前提で記事を書いていたりします。
継続してこのサイトを観ておられる方がどれだけ居らっしゃるかわかりませんが、もしいらっしゃれば、その方は意見が矛盾していると思われているかもしれません。
今回は、今の日本に対する私の見方を改めて書いていこうと思います。

私の基本的な見方としては、今、日本はデフレだとは思っていません。
しかし、人件費が減少して物価が下がっているんだからデフレだろう!と仰る方にデフレじゃないといった所で、聞く耳を持ってもらえない為、そういう人に対して、デフレ前提で話している回もあるわけです。
では、人件費と物価が下がっている件についてはどう考えるのかといえば、日本の高度成長期からバブル期にかけ、日本の人件費と物価が異常なほど上昇し過ぎたのが、適正価格に下がってきただけだと思っています。

日本の戦前の円相場は1ドル=1~2円程度だったものが、戦後に1ドル=360円の固定相場制に移行し、日本の人件費が海外から見て以上に安くなった上、アメリカからの援助なども有り、日本経済は急速に回復しました。
その後高度成長期からバブル期にかけ日本人の給料は上昇し、不動産価格も、山手線内の土地を全て売却すれば、アメリカ全土が買えると言われるほど上昇しました。
この上昇により、日本と周辺諸国との間に、かなりの格差が生まれました。

今起こっている物価・人件費の下落は、上昇し過ぎた物価が適正水準に下がってきているのと、周辺国との格差が縮まっているだけであると考えます。
そもそも、日本に生まれたというだけで多額のお金を得て、東南アジア諸国や中国内陸部に生まれたというだけで日本人の10分の一程の賃金しか受け取れないというのは、普通に考えればフェアではありません。
日本国内では、同一労働同一賃金でなければなどと言われていますが、これは世界レベルでも当てはまることだと思います。
そう考えれば、日本の物価は更に下がるでしょうし、後進国の物価は上昇していくと思われます。

この様な適正水準に向う動きのことをデフレと呼ぶのであれば、今はデフレなんでしょう。wikiによるデフレの定義を見ても、2年以上の物価下落が続けばデフレだと定義されていますしね。
しかし私個人はそうは思わないので、デフレでは無いと主張していますし、デフレではないから、デフレ脱却なんて出来ないと思っています。
というのも私は、短期的に上昇したものはどんなものであれ、何れ適正水準に向かうと思っています。
その適正水準に向かう過程で、日本政府は急激なショック安を下げるため、公共事業等の経済安定化策をとることで、下落スピードを緩め、その結果として適正水準に下がるまでの期間が長くなったと考えます。

また、金融政策によってこの状態が改善するとも思っていません。
何故かといえば、物価が上昇から反転し、下降に向かった原因の一つは、供給過剰だと思われるからです。
経済が成長して過熱している状態というのは、主に需要不足の状態です。
需要不足であるがゆえ、生産量を増やして市場に供給すれば儲かるため、設備投資が増え、足りない資金を調達するために銀行貸出が増えます。
しかし、過剰設備になって生産量が需要をはるかに超えて供給過多になれば、物価は下がって設備投資は減り、企業の返済計画も狂いはじめます。
こうなれば銀行は自身を守るために貸し剥がしをし、設備投資ではなく運転資金を借りに来る事業者には貸し渋りをするようになり、銀行貸出が減少します。
余力のある企業は市場シェアを取るため、より安価な製品を作る為に、賃金が安い海外に進出し、国内の労働需給が悪化することで失業率が増えます。

この様な状況で、お金を増やしただけで事態が解決すると思うほうが楽観的すぎるのではないでしょうか。
日銀が国債を買い、市場のお金を増やしたところで、銀行は体力のない企業にはお金をせずに、再度国債を買うか日銀当座預金に預け入れます。
体力のある企業は支払い金利圧縮の為に銀行に借り入れを返済し、更に体力のある企業は、先程も述べたように海外に生産拠点を作り、海外で人を雇う為に、国内に好影響は出ません。
前日銀総裁の白川前総裁は、この事を理解した上で量的金融緩和に積極的ではありませんでしたが、マスコミや政治家に叩かれまくって辞めてしまわれました。
白川氏が辞め、その後後任の黒田総裁に変わって量的金融緩和を行なってことで事態が改善したかといえば、エネルギー物価が上昇して生産コスト上昇による値上げが起こっただけで、改善したとはいえません。

ではこの状態が何時になれば改善するのかといえば、先程も述べたように、周辺国との経済格差が縮小し、海外に発注しても国内に発注しても、品質に対するコスト面で差がでないような状況になるまでは改善しないと思われます。
アメリカでQEと呼ばれる量的金融緩和が行われた時は、供給されたお金はアメリカ国内で循環せずに、成長力の高い新興国に逃げました。
日本は鎖国しているわけではないので、日本国内の金融政策が日本国内のみに留まるり、高影響を与えると考える方のは、楽観的すぎると思います。
供給が限られている一部資産にお金が集中して値上がりすることはあるかもしれませんが、突如として需要が現れて好景気に転換するということはないでしょう。
仮に需要が急激にまして急激な物価高が起こるとすれば、その時は、日本円の価値が紙切れになった時ではないでしょうか。