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【本の紹介】ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質

今回紹介させていただく本は、ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質です。


ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質


同名の映画作品、ブラック・スワンと間違える方も居らっしゃるかもしれませんが、踊りのバレエの話ではありません。
どちらかというと、某保険会社の広告に出てくる、黒い白鳥の元ネタです。
以下で概要などを書いていきます。
この本は、ブラック・スワンと呼ばれる予期せぬ出来事について解説している本です。

まず最初に、ブラック・スワンの定義ですが
・事前にほとんど予測できない。
・起こった時の衝撃が大きい。
・出来事が起こった後に、その出来事が、予め対処さえしていれば、回避可能だったと錯覚してしまうもの。

具体的な出来事でいえば、サブプライムローン問題、9.11同時多発テロ、日本で起きた震災も含まれるのでしょうか。
これらの出来事は、後から考えれば、適切な対処を行っていれば、つまり、出来事が起こる原因とされるものを予め排除していれば、起こらなかったと、後になってから対処方法が色々と出てきました。
もちろん、出来事が起こる前には、誰もそんなことが起こるなんて想像すらしておらず、実際に起こった際にはかなりのショックが起こりました。

この本の構成ですが、独特の語り口調で書かれる本書は、前半部分で懐疑主義を薦め、後半部分で人間がいかにして理路整然と間違うかについて書かれています。

具体的に書いていくと、まず懐疑主義の部分ですが、基本的に人間は、どのような人間でも、物事を単純化して因果を分析し、その物事が何故起こったかというストーリーを考えがちです。
しかし、実際に世の中で起こっている出来事の殆どは、人が普通に考えているよりも複雑で難解なものです。
その出来事について理解できたと思っていても、そのイメージと実際の出来事とはかなり乖離している為、予想が外れ、気がついた時には手遅れとなる。
本の中の例を引用します。

七面鳥を飼育している男性がいたとする。
七面鳥とってのこの男性は、定期的に餌を運んできてくれて、身の回りの世話をしてくれている有り難い存在という情報しか与えられていないので、七面鳥に取ってはかなり都合の良い存在で信頼できる人物です。
しかし七面鳥は、最後の最後で、その男性が取る行動によって、自らの命を落とします。
このストーリーは、男性が七面鳥を食べる為に飼育しているという情報を知っていれば、因果が成立して納得のできるストーリーなのですが、七面鳥がその事実を知るのは死ぬ間際のみなので、七面鳥はその情報を組み込んでストーリーを組み立てる事自体が不可能という話です。
七面鳥にとっては、最後にとった男性の行動がブラック・スワンに相当し、この事実を知った時点で、鳥は一生を終えます。

自身の生活を振り返ると、ブラック・スワンと呼べるほど大きなショックは頻繁には有りませんが、小さな例で言うと、この様な間違いは頻発しており、多くの場合は【ボタンの掛け違い】といった単純ミスとして処理されます。
しかし、この掛け違いが、致命的な部分で起こると、ブラック・スワンと呼ばれる減少につながるのでしょう。

では何故この様な間違いをしてしまいがちなのか。
それは、人の脳そのものが、元々その様な作りになっているからだと、この本は主張します。
例えば、1000ページの本に、何の法則性もない単語の羅列が10万語並んでいっとします。
この単語を覚えるのはかなり難しく、全て暗記できたとしても、かなりの年月がかかるでしょう。
しかし、この1000ページ10万語の単語が、一定の法則に則って書かれている場合、そのパターンを覚えるだけで、その書物に書かれていることと同じことを脳内で再現することが出来ます。

つまり人間の記憶は、単なる情報の羅列を覚えるよりも、それらの情報をパターン化してストーリーとして覚える方が効率的なように出来ている。
そしてまた人間の脳は、そのストーリーを強化する情報を優先的に吸収するが、そのストーリーを否定する情報は排除しようとするようです。
結果として、脳は不完全な情報を元にストーリーを作り上げ、そのストーリーを強化する情報のみを吸収していき、ストーリーをより強固なものにする。
そのストーリーが固定概念となり、思考そのものがその概念に縛られ、自由を失った思考は、その固定概念をより強固なものにしてしまう。

つまり、今出回っている情報のみで物事を理解するという行為そのものが無謀なもので、リスクなわけです。
先ほどの七面鳥の例で言うと、たった1つの情報が足りなかっただけで、七面鳥が考える自身の立場と男性の評価は180度変わります。
これは外から与えられた、また調べた情報だけでなく、自分自身の作り上げたストーリーも疑うべきで、この考えが懐疑主義につながります。

長くなってきたので、今回はこのへんで。
この本は上下巻で、今回書いた内容は上巻の一部で、まだ全てはかけてませんが、興味のある方は読んでみてください。
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