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就職と就社

今朝のワイドショーで、解雇規制緩和についての話が行われていた。
限定社員という言葉を持ち出し、相変わらずワイドショーは良くわからない解説に終始していたが、この件に関する解説では、GW中に放映されていたWBS(ワールドビジネスサテライト)での解説が一番わかりやすく勝つ的確だったので、この解説を参考にして雇用規制の事を考えてみよう。

よく日本では、『日本では解雇規制が厳しいので、従業員を解雇することが出来ない。』と言われてきた。
しかし専門家に言わせると、日本の解雇規制は海外と比べて厳しすぎるという事はないようです。
法律には、解雇に関して【正当な理由がない限り、解雇してはならない】と書かれているだけで、この文言自体はどこの国の法律にも書かれている基本的なことで、日本だけ特別厳しいことが書かれているわけではない。

では何故、日本では解雇しにくいのか。
それは、日本では就職と言いながら、実際に行われているのは就職ではなく就社だからだそうです。

海外で認識されている就職とは、読んで字のごとく職に就くなので、会社に入って職をこなす事が仕事です。
なので、営業職に就いた人は営業のみ行い、会計職に就いた人は会計のみ行い、製造職に就いた人は製造のみを行う。
仮に、会計ソフトの導入によって経理の人間が必要なくなれば、雇用者はは整理解雇という形で解雇されても文句は言えないし、営業を外部委託することで営業部そのものを廃止する場合、営業職は職を失っても文句は言えない。
また、海外では仕事の減少で労働時間が減少した場合は解雇するという契約を雇用の段階で交わしている場合も珍しく無いらしく、オートメーション化によって製造に関わる人が少人数でよくなれば、製造業種は解雇される。
つまり、グローバル社会で整理解雇というのは正当な理由となるようです。

しかし日本では、就職している人間は居らず、行われているのは就社なので事情が変わる。
正社員と呼ばれる人は職に付いているのではなく、会社に仕えている為、事業部が廃止されようが新技術による効率化によって人が必要なくなろうが、解雇するための理由とはならないというわけです。
その為日本の会社は、効率化による仕事減に陥った場合、経理担当者として雇った人間を社内で人材不足気味の営業にまわす等の人事異動を行ったりする。
他の部署でもいっぱいの場合は、仕事の無い社員は企業内失業・社内ニート状態となり、肩身の狭い思いをしなければならない。
この様に、日本では明らかに過剰人員を抱えていても、整理解雇が正当な理由とは認められていないため、解雇がしづらい状態となっている。

この状態を解消しようと考えられたのが、冒頭で書いた限定社員というものらしい。
この言葉の定義は、海外で行われている雇用条件を日本に持ち込んだもので、グローバル社会でいうところの正社員と同じ。
海外に限定社員という言葉がないのは、海外で使用されている正社員という言葉の意味が限定社員と全く同じ意味だからなんでしょう。
つまり限定社員とは、日本の雇用を海外と同じようにしましょうということで、特別驚くべきことでもないわけです。

しかし、物事をあまり深く考えないワイドショーは、相変わらず『限定社員制度が出来れば、企業は簡単に人を解雇できるように成る!』と良くわからない問題提起をして政府批判をしてますね。
少し考えればわかることですが、企業は過剰人員を抱えている状態では多くの求人を出しません。
つまり、会社がどのような状態になろうと解雇が出来ない現状では、求人は絞られる為、若者の失業率が増える。
また、整理解雇すら出来ない現状では、季節商品等を取り扱うような業種では、正社員数を極限まで減らし、忙しい時期のみアルバイトや非正規社員を期間労働という形で雇うしかなくなる。
結果として日本では、失業率は低い状態で抑えられて入るが、労働者に対する非正規社員が占める割合が大きくなっている。

まだ今のように、失業率が低い状態を保っていられるのであれば、今の状態でも良いのかもしれない。
しかし、日本は鎖国しているわけではないので、今は大丈夫かもしれないが、いずれ状況も変わってくることが予測される。
というのも、企業内ニートを抱えながら経営するということは、簡単にいえば足枷を付けた状態で他国企業と戦っていることと同じわけです。
当然他国のほうがフットワークが軽いわけですから、国際的な競争では日本は不利といえます。
また、直接会社の利益と関係ない事をしている企業内ニートを抱えているということは、利益に結びつく仕事をしている人達が生み出した利益から働いてない人の給料を捻出することになるので、労働分配率が同じであれば、有能な人達の給料が社内ニートによって引き下げられる状態になります。

有能な人達からしてみれば、他社で同じ仕事を行う事でより多くの給料がもらえる可能性があるのなら、転職も考えるでしょう。
結果として、有能な人材が外資に流れていくというケースも十分考えられます。
こうなれば、国際競争力はさらに低下するため、長期的に見れば日本の企業が激減してしまう事も考えなければなりません。

だからといって、解雇基準を欧米に合わせれば問題が解決するのかといえば、そんな簡単な話でもないでしょう。
欧米、特に自由主義が進んだアメリカでは、失業率は日本に比べればまだまだ高い状態です。
二極化も日本よりも激しく、過ごしやすい地域かといえば疑問符もつくでしょう。

つまり、どのような製作を選んだ所で何かしらの問題は出てくるわけです。
ではどうすれば良いのか。
その答えは、能力に見合った給料をもらえるが、いつ解雇されるかわからない社会か、それとも、解雇はされないが給料は少ないデフレ社会か。
どちらを選ぶのかによって変わってくるでしょう。

個人的な意見を言えば、私自身は個人事業という明日仕事が無くなる可能性が絶えず有る仕事をしているということもあってか、解雇基準を海外に合わせるということに反対する理由はありません。
そもそも仕事というのは何時無くなるか分からないものであって、一度入社を通過すれば一生生活が安泰というのが異常だと思います。
それに、終身雇用で年功序列で給料が上昇するのであれば、社員に努力するインセンティブが全く無く、『自分が務めている間、会社が持てば良い』と考える人間ばかりが集まりそうな気もしますしね。
そんな人間ばかりの会社で、新たなサービスや画期的な製品が生み出されるとは到底思えません。
ここ最近、日本で生み出さえる製品がどうも保守的な感じがするのは、このあたりのことも関係しているのかもしれませんしね。
そういった意味でも、解雇基準を海外に合わせるのはどちらかと言えば賛成です。

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