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金融政策でデフレは解消できるのだろうか

株価はあっとゆう間に13,000円台に突入し、円も一時100円間近まで下落しましたね。
街角景気は回復傾向になり、東京の百貨店でも高級品が売れ始めたようです。
この流れは、先日行われた日銀政策決定会合が切欠となりました。

日銀発表を簡単に説明すると、2年で2%の物価上昇を実現するために、日銀のバランスシートを2倍にしますということ。
バランスシートを拡大させるとは、簡単にいえば、日銀が大量のお金を刷って、そのお金で国際や株式などの金融資産を買いまくるということ。

では果たして、この金融政策で本当に物価が上昇して景気が良くなるのかといえば、僕はとてもそうは思えません。
というのも、日銀がお金を刷る事と、今起こっている賃金低下は関係がないと考えるからです。

日銀がお金を刷ればデフレが解消するという意見は、宮崎哲弥氏などがテレビ番組等で発言されています。
この理屈を簡単に言うと物価はものとお金のバランスによって決定するから、お金の料を増やせば物の価値は上昇するといっているわけです。
確かに、この理屈は一見すると正しいようにも思えます。

しかし、僕達が学校で習った物価は、物とお金のバランスによって決定していたでしょうか?
思い出して欲しいのですが、僕達が習った物価は、需要と供給によって決定していたのではないでしょうか。
考えてみれば分かりますが、3LDKの家に住んでいるテレビを5台所有している人が、市場にあるお金の量が2倍になったという理由で、更にテレビを5台買い増して10台所有するでしょうか?食べる量が2倍に増えるのでしょうか。
市場に出回っているお金が2倍になることで、消費者がそれぞれ2倍の消費を刷るのであれば、金融緩和は意味があるでしょう。
しかし、需要が増えないのであれば、市場にただ現金があるだけで意味自体はほぼ無いといえるでしょう。
テレビに出演している経済コメンテーターは、日本が経済成長するためには、一人あたりの生産性(※)を上昇させなければいけない!と声高に叫びます。
この意見自体は正しいですが、需要が追いついていない状態で生産性を伸ばしても、デフレが悪化するだけです。

(※)生産性という言葉は、色んな意味を持つようですが、この場では『少ない労働力でより多くのものを生産する』という意味で使用しています。

日本の経済成長期や、今のような成熟期の物価の上下は、需要と供給によってある程度理解することができます。
簡単にざっと書いてみますと

日本の戦後は、物自体が無いのにもかかわらず、需要はかなり旺盛だった。
この様な状況では、生産者は供給を増やせば増やす程、儲けることが出来たので、大量に人を雇い増やしながら、設備投資をして一人あたりの生産性を上昇させていった。
需要が供給を上回る経済環境では、できるだけ多く人を雇い、最新の機械を導入して他者よりも生産数を増やすことが業績を上昇させる唯一の手段なので、人と融資の奪い合いが起こります。
人を多く雇った上で継続して会社に残って貰う為には給料を上げなければなりません。
雇用者のこの様な行動により、労働者は同じ労力でより多くのお金を得ることが出来たので、そのお金で更に欲しいものを買い、さらなる需要を生み出していった。

この時代は民間需要だけでなく、国としてもインフラ整備が進んでいなかった為、公共事業による需要も旺盛だった。
またこの当時の公共事業は、経済拡大を更に促進させるものも多かったと考えらる。
道路・電気・鉄道を通すことで、人や物の行き来が更に容易になり、人々の需要を更に拡大させていった。

これが、戦後から高度経済成長期で見られた動きだと考えられます。

しかし、バブル期へ向うに連れて、この動きにも変化が訪れます。
どのような変化といえば、需要と供給のバランスの崩壊です。
人が物を欲しいと思う気持ち自体はどの時代にも変わらず存在しますが、それを金額ベースに換算した場合は話が変わってきます。
テレビ・冷蔵庫・洗濯機・車。生活に必要だと思われるものが全ての家庭に行き渡ってしまえば、少なくともこれらの物に関しては、需要が激減します。
何故なら、今までの市場は、物を新規で購入する人と、買い換える人で成り立っていたわけですが、物が行き渡ってしまえば、そこから新規で購入する人がなくなり、買い替え需要のみになるわけですから、需要は激減するわけです。

この需要が激減している状態で、一人あたりの生産性を上昇させるとどうなるでしょうか。
単純に考えて、需要がないのに供給を増やせば、そのままの価格で販売しても売れ残るだけなので、価格競争に突入して価格は下落し続けます。
ここで企業が生き残る為に取る行動は、更に生産性を高めることです。
工程をオートメーション化し、同じ人員でより多くのものを生産する。
この行動により、より低価格で製品を作ることが可能になり、価格競争でもより優位に立てるわけですが、皆が同じ事をやれば供給される物の量は更に増加し、需給バランスは崩壊してしてしまう。
結果として、物価はさらに下がり、製造に携わる人は減少します。

この様な流れが起こっているのは、日本だけではありません。
先進国ではどこも同じような事が起こっています。
その昔、ものづくり大国だったアメリカは、今では製造業に携わっている人が激減しています。
しかし、アメリカではデフレが起こらずに日本でデフレが起こったと言われています。

この原因は色んな所でも指摘されていますが、単純に政治の問題ではなく、雇用問題が関係していると思われます。
日本は正社員を一度雇えば、簡単には解雇することができません。
しかし、アメリカでは日本よりも簡単に解雇することが可能です。

この様な環境の場合、日本のように解雇が出来ない状態であれば、企業の限られた利益を多くの社員で分けなければならないのに対し、アメリカでは不要な社員を解雇し、残った社員のみで分け合うことが可能です。
つまり、日本の場合はオートメーション化によって生産効率を上昇させたとしても、余った人員を解雇することが出来ない為、結果として一人分の給料が増えることがなく、価格競争で売上が下落すれば、社員の一時金などがカットされる場合もあるのに対し、アメリカでは労働力が余れば費用はかかりますが解雇が可能なので、生産性が上昇すればその分給料にも反映されやすい環境だったと思われます。
その結果、日本では給料が上昇しない代わりに失業率が低い状態で維持され、アメリカでは解雇されずに生き残った人の給料は上昇しましたが、解雇され流人が増える分、失業率が高い状態で維持されていると考えられます。

今、世界的に若者の失業率が上昇していると話題ですが、これも同じ理由で説明出来ます。
日本の場合は解雇が難しいので、人員整理をする為には新規採用を抑える必要が有り、アメリカの場合は解雇が日本に比べれば容易にできるが、会社都合だとそれなりの金額を労働者に支払う必要があるので、費用を抑えた形で人員整理をしようと思えば、やはり新規採用を抑えなければならない。

この世界的な若者の就職難と物価下落は、オートメーション化などに代表される技術の進歩と、それによる供給過剰で説明出来ます。

なので、日銀がいくらお金を刷った所で、根本に解決には成り得ないと思われます。
もっとも、日銀が円の信用力を極限まで貶めるほどの行動を取れば別ですが、その時は景気云々ではなくただのキャピタルフライトなので、状況は更に悪化する可能性もありますが。。

といっても、過去の記事で何度も言っていますが、景気の気は気持ちの気なので、この金融政策で景気が良くなると思い込み、皆が消費活動を活発にすれば、景気は良い方向に向うかもしれません。
日本国民としては、良い方向に向かって欲しいと願っているのですが、どうなることやら。。。
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