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アベノミクスで、給料は増えるのだろうか?

民主党政権から自民党政権に変わり、市場の雰囲気が一変したことで、アメリカの株価は史上最高値に達し、日本の株価も一時1万2千円(2013/03/07現在)に到達しました。
ここ最近の株価の動きに触発されたのか、株式情報誌や四季報などが売り切れているというニュースも聞くので、市場が冷え込んでいるよりは盛り上がっている現在の方が良いとも言えますけどね。
安倍政権が誕生し、とりあえずの方向性を示しただけで市場が激変するわけですから、相変わらず市場というものはよくわかりませんね。

しかし冷静に考えると、日本株の動きはともかくとして、アメリカの株式市場の動きについては安倍首相は全く関係がなく、また、日本国内の不動産価格も政権交代前から上昇し、安倍政権誕生のタイミングと日本の貿易赤字のタイミングが重なっていることを考えると、アベノミクスという言葉をマスコミが過剰に報道し、言葉だけが独り歩きしている感じがしないでもなかったり。

そんなアベノミクスですが、政府要人から次々と
『企業が給与を挙げないと、アベノミクスは成功しない!』
という内容の発言をしだしましたね。
ここ最近、マスコミが物価高だけ進行して給料がそのままの可能性を報道しだしていますので、当然といえば当然でしょう。
この政府要人からの要請に答えてか、一部企業が賃上げを宣言しだしましたが、この動きは全ての企業に広がっていくのでしょうか?
今日はこのことについて考えていきます。

賃下げの原因としてよく挙げられるデフレスパイラルですが、このブログでは何度も主張してますが、賃下げの原因がデフレスパイラルというのは嘘です。
デフレスパイラルそのものが嘘なんですから、今の状態の前提条件にデフレスパイラルを置いている限り、今の状況を反転させてインフレスパイラルに持ち込むことも不可能だと思われます。

では、私が何を根拠にデフレスパイラルは嘘だと主張しているのか。
この疑問に答える前に、デフレスパイラルの構造を簡単に説明すると、以下の様な流れがデフレスパイラルと呼ばれています。

・物が売れないので企業が値引きをする
   ↓
・値引きをすると利益が上がらないので、従業員給与を削減する
   ↓
・受け取り給与が下がったので使えるお金が減り、物を買わなくなる
   ↓
・物が売れないので… 以下繰り返し

一見すると筋が通っているように見えますが、実際にはかなり変な理論です。
この流れをよく見てもらえればわかりますが、この理論は日本が鎖国状態で、海外と取引していないことを前提とした理論です。

まず最初の項目から見てみましょう。
物が売れないので企業が値引きし、日本製品が海外製品と比べて割安なのであれば、日本国内だけでなく海外でも売上が伸びます。
値引きして利益が上がらない、もしくは下がるのは、市場から見てその製品がまだまだ割高か、もしくは必要ない製品だからです。
因みにこの画像は、アメリカと日本のテレビ価格の違いです。
米テレビ価格

30年間デフレで苦しんでいる日本と比べて、アメリカでの価格のほうが安いのは何故でしょう?

次に、【値引きすると利益が上がらないので、従業員給与を下げる】
ですが、この理屈で言うと、企業は利益が下がっているから、仕方なく人件費を削っているという印象を受けます。
しかし、本当にそうなのでしょうか。
企業。特に製造業は、製造拠点を海外に移すことで製造単価を下げて来ました。
日本で20万円出して人を雇うぐらいなら、中国の都市部へ出稼ぎに来ている農民工を月2万で雇った方が、固定費を下げられる分企業に利益が出ます。
中国の人件費が高騰しつつあるというのであれば、ミャンマー等のまだ給与が上がっていない国へ進出することで、低賃金を維持することができます。
日本企業はデフレスパイラルによって利益が毎年減少しているはずが…
キャノンがバブル期以上の過去最高利益を出したのは2007年です。
トヨタの最高益は2008年・ユニクロは2012年・ブリジストンも2012年。。。
利益に応じて人件費が返送するのであれば、既に給与は上昇していなければなりません。

次の、【受け取り給与が下がったので使えるお金が減り、物を買わなくなる】
これも、よく考えれば変な話です。
給料が減ることで使えるお金は減りますが、物価が下がっているのであれば今までと同じかそれ以上の量のものが買える事になります。
簡単にいえば、今から20年ほど前は、40インチのプラズマテレビが150万円程していました。
しかし今現在では40インチのもので8万円を切り、50インチのものでも15万円程度で購入出来ます。

プラズマテレビ比較

20年前では高額所得者しか手の出なかった様なものが、庶民でも手に入れることが出来る状態です。
こういうことを書くと
『150万円で売れていたものが8万円でしか売れないんだから、差し引き142万円分売上が落ちるじゃないか!』と主張する人も出てきますが、国民は物が安く買えてお金が余れば他の物に消費するので、国全体としての消費が落ち込むわけではありません。

下のデータは内閣府からダウンロートしてきたデータですが、家計最終消費支出の民間最終消費支出も、18年前の1994年から比べてさほど変化していません。
厳密に言うなら、1994年と2012年を比べると2012年の方が多いです。

内閣府

これらのことからも分かる通り、マスコミや政府が解説に利用しているデフレスパイラルは嘘だとわかります。

では何故デフレで物価が下がっているのか?
先日、日銀がデフレを引き起こしている品目を調べたところ、物価を引き下げているのは19品目のみということが分かったようです。
其の19品目とは、このようなもののようです。
(ネットから拾ってきた画像)

デフレ19品目


パソコン・ビデオレコーダー・ゲーム機等が上位に並んでいますね。
ここでひとつの疑問が出てきます。
というのも、パソコンもゲーム機も、実売価格は昔とそんなに変わってはいません。
むしろゲーム機にいたっては、今度発売されるPS4が4万円台ということを考えると、値上がりしているのではないかとすら思えます。
しかし、実際には物価の足を引っ張っている品目なのです。

では何故足を引っ張っているのかといえば、電化製品は単純に価格を比べているわけではなく、性能も考慮に入れて価格を計算しているからなんです。
簡単に説明すれば、パソコンの性能が10倍になった場合、パソコン価格も10倍で販売されなければならないということです。
数年前に20万円した当時の最新パソコンと、今現在、当時から比べると10倍の性能がある今の最新パソコンが20万円で販売されている場合、パソコンの物価は10分の1になったとして計算されます。
実際にはもっと複雑な計算をしているとは思いますが、簡単に説明するとこんな感じです。
つまり、僅かな期間で性能が上がる電子機器は、実売価格が同じでも価格は下落しているとして計算されるわけです。
また、パソコン・ノートパソコン・携帯オーディオプレーヤー・カメラ等は、最近登場したタブレット端末やスマフォと機能が被る部分も多く、需要そのものが低下傾向にあるとも考えられます。

これらのことを勘案すると、デフレ指数そのものがおかしいとも考えられる。
ということは考え方によっては今の日本は
デフレでもなく大手企業の利益が圧迫されているわけでもないのに賃金が上がらない状況とも言える。
そして、賃金が上昇しない最大の理由は、製造業の海外移転により、雇用市場の需給悪化だろう。
労働市場では、企業は苦労することなく必要な人員を雇うことが出来る。
本来であれば賃金上昇は、必要な人材を雇う為、そして雇った人材が流出しない為に行うものだが、今の労働環境ではこれらのことを行う必要がない。

この状況で、賃金上昇が全業界に広がると考えるのは、少々楽観的すぎるのではないだろうか。
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