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【本の紹介】 迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか

今回紹介する本は、【迷惑な進化】
確か去年だったと思いますが、テレビ東京で放送しているワールドビジネスサテライトの本紹介コーナーの【スミスの本棚】で、漫画家の内田春菊さんが紹介されていた本です。


迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか


この本は、既に存在する事実をつなぎあわせて、著者が医者の立場から仮説を展開するという本です。
仮説といっても、、一つ一つの事実を繋ぎあわせ、医療に詳しくない一般人にもわかり易い言葉で丁寧に説明してくれているので、結構説得力があります。

書かれているテーマは、大きく分けると8つです

・血中の鉄分は多いほうがいい?
・糖尿病は氷河期の生き残り?
・コレステロールは日光浴で減る?
・ソラマメ中毒は何故起きる?
・僕達はウイルスにあやつられている?
・僕達は日々すこしずつ進化している?
・親がジャンクフード好きだと子供が太る?
・あなたとi pod は壊れるようにできている

本を紹介する言葉としては月並みですが、この本を読んで、考え方・モノの捉え方が変わりました。
ここでほんの内容を全て書いてしまうのは問題がありますので、このテーマの中から数個選んで簡単にしか説明出来ませんが、少しでも興味を持った方は読む事をお勧めします。

以下、少しネタバレ要素を含みますので、内容を知りたくないという方は読まないようにしてください。







まず、血中の鉄分は多い方が良いのか。
おそらく私達は、貧血気味の女性を除き、という栄養素に対して余り関心を抱いていないと思います。
ですが、地球に住む生物にとってというのはかなり重要な栄養素で、99%以上の生物が鉄がなければ生きていけません。
しかし、最初のテーマは【血中の鉄分が多いほうがいい?】と疑問形になっています。
それは何故なのか?
詳しくは本を読んで自身で納得して欲しいのですが、このテーマの結論を簡単に書くと、人の体というのは、人間1個の生命で出来ているというわけではないということです。

このテーマでは、鉄を異常なほど蓄える難病『ヘモグロマトーシス』に焦点を当て、そこから鉄についての細かい説明が展開されます。
鉄の重要性はもちろんですが、多すぎればどのような影響が出るのかを、わかりやすく簡単な言葉で説明してくれています。
そして話は【人体】から、人の体の中へと移っていきます。

人の体には無数の、数えきれないほどの微生物が住み着いています。
そして、その99%以上の生物が、栄養素としての鉄を欲しています。
当然、本来人の体にはいない、外からの病原菌もその例外ではありません。

このことを踏まえて、血中に鉄分が多いほうが良いのか?と問われれば、単純にYESとはいえません。
そう、体内に鉄分が多いということは、外からの病原菌にとっても、好環境ということが言えます。
体内に侵入した病原菌は、栄養素である【鉄】を容易に入手することができ、その結果、宿主の人間の体を破壊してしまうほど増殖します。

では、体内に鉄を異常なほど蓄える難病『ヘモグロマトーシス』の人間は、感染症にかかりやすいのか?
答えはNOの様です。
何故『ヘモグロマトーシス』の人間が体内に異常なほど鉄を蓄えるのかというと、その患者の体が絶えず【鉄】に対して飢餓状態にあることが原因のようです。
つまり、体の中には異常に鉄はあるが、体そのものが鉄不足だと認識している為、無駄な鉄分を他者に放出しない状態になっているようなのです。
当然、体外から侵入してきた病原体に対しても鉄を分け与えることはなく、結果的に『ヘモグロマトーシス』の患者は、一般人に比べて感染症にかかりにくい体質を獲得しているようです。


次のテーマは『糖尿病は氷河期の生き残り?』
糖尿病には、1型と2型が存在します。
細かい解説は医師の方にでも聞いていただいたほうが良いですが、簡単に説明すると、1型が自分の細胞がすい臓を攻撃することでインスリンが製造できなくなってしまう病気で、2型が贅沢病と呼ばれる、主な原因が肥満の糖尿病です。
1型の場合は、肥満や食事習慣に関係なく、発病するとある日突然糖尿病になるようです。
そしてこの1型に発症する人の割合が、北半球の北側の寒冷地に住んでいる人達に多いようなのです。
これは偶然なのでしょうか?

先日テレビで、冬に野菜を収穫しないまま、雪の下で放置しておくと、糖度が増して甘い野菜が作れるという話をしていました。
これは、野菜内の糖度を高めることで液体の凝固点を引き下げることで、細胞が凍りつくことをから逃れる為の植物が持つ防衛本能を利用したものだそうです。

人の体にも、寒さに対する様々な防衛反応が存在するようです。
寒いところに長時間いると手足が冷たくなるのも、その防御反応の一つのようです。
人の体は体全体の体温低下を防ぐため、四肢に送る血液量を制限し、体の血液を胴体に集めるような仕組みになっています。
この仕組だと、血液が流れる表面積が低下するため、最悪の場合四肢を切断しなければならない状態になるかもしれませんが、体温低下を防ぐ事で命が助かる可能性が高まります。
また、寒いところに長期間い続けると、人の体は更に効率のよい防衛反応を起こすようです。
具体的には、普段は体の中心部に温かい血液を貯めておくが、数分ごとに手足に大量に温まった血液を送ることで、手足を壊死させずに体温低下を最小限に抑えるようなことも出来るようなのです。

更に過酷な環境に長期間過ごす。例えば、北極圏に数ヶ月住み続けるといったことを行うと、人体は寒さに対する更なる防衛反応を身につけるようです。
それが、褐色脂肪細胞
人の体は本来、筋肉を動かすことでエネルギーを熱に変換しますが、この褐色脂肪細胞は、糖分を流し込むと直ちに熱に変換する能力を持っています。
つまり、血中の糖分濃度が高ければ、より簡単に、効率的に熱を発生させることが出来るんです。
もうお分かりですね。

これは先程、野菜を例にあげて説明しましたが、液体は純粋な水よりも、糖分がより多く含まれていたほうが凍りにくい状態となる。
そして、糖分が流れこむだけで発熱する褐色脂肪細胞という組織が存在する。
この2つが上手い具合に作用すれば、人は労せず熱源を確保できることになりますが、そこで邪魔になる存在が『インスリン』です。
インスリンは血液中の糖分を抑制する働きがあるので、インスリンが分泌されていると血糖値が下がり、褐色脂肪細胞が上手く熱を発生することができなくなります。
そこで、人間の生存本能は、インスリンを発生させる膵臓を破壊すれば、より長い気が出来ると思ったのではないか?
つまり、寒冷地に多い1型糖尿病患者は、氷河期時代を糖尿病になることで生き延びた人間たちの子孫ではないのか?

糖尿病にしても、ヘモグロマトーシスにしても、今現在の安定した世の中では病気だが、その時その時の厳しい状況を生き残るために起こった進化とは考えられないだろうか。
糖尿病になることで、将来的には早死してしまう可能性はあるが、少なくとも生殖可能年齢まで生き延びることは出来る。
ヘモグロマトーシスによって人体に悪影響出るが、ペストなどの大量の死者を生んだ感染症にかからなくなり、人類という種が全滅する可能性は減らすことが出来る。
人という種が未来に生き続ける為には、これらの病気は無くてはならない進化だったのではないだろうか?


人類を一人一人独立した生命だと捉えれば、糖尿病にしてもヘモグロマトーシスにしてもただの病気としてしか捉えられません。
しかし、人類を巨大な1つの生命体だと考えるのならば、ある特殊な環境や状態に備えて、特殊な遺伝子を仕組んでおき、その環境が訪れた時に全滅だけは避けるという考え方もできる。
そういった考え方が、すんなりと受け入れられる様になる本です。

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