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地理的にデフレを考える

このブログでは何度目になるか分かりませんが、またまたデフレについて考えてみようと思います。

日本のマスコミは相変わらず、賃金低下によるデフレ・スパイラル等、日本のデフレを日本国内の要因のみで語るのがお好きなようです。
少し前に日本でヒットした【デフレの正体】でも、デフレの原因は日本の生産労働人口が減っていることだと言っていましたしね。
しかし、この様に国内要因だけに焦点を当ててデフレを考えるのはどうなんでしょう?
日本は鎖国しているわけではありませんので、国内要因だけでなく、海外要因によってデフレが起こっていると考えるべきではないでしょうか。

少し話は変わりますが、先日、テレビ東京系の番組未来世紀ジパングという番組で、脱中国について放送されていました。
VTRで紹介されていたのはアメリカの一企業の例でした。

簡単な内容を書きますと、ある独自の製品を製造販売していた企業が、中国への発注を見直す為に、リスクを洗い直しました。
その結果、様々なリスクが有る事が分かって来ました。
例を挙げると

・中国ではインフレが進むことによって人件費の上昇圧力が絶えずかかっており、毎年人権時は上昇傾向にある。
・中国では秘密保持が難しく、商品を中国へ発注下時期と同時期に、模倣品が出まわるようになってしまった。
・品質が安定しない。

といった問題点が挙げられていました。
そして、全てのリスクを金額に換算した上でコストを計算し直すと、中国で生産してアメリカに輸入する場合とアメリカ国内で製造する場合で、価格差がないことがわかりました。
今後も情報が漏洩し続けたり、製品への信用が下がる事で更なる損失に繋がる可能性が有るというデメリットを考えた場合、アメリカ国内で生産したほうが良いという結論に達し、その企業は生産を中国から撤退し、国内に帰ることにした…
この様な企業が増えて国内回帰が進めば、アメリカ国内の失業率も下がって景気に好影響を与える…

といった内容。
この様な番組の流れでは、当然
『では日本もアメリカに習ってリスクを含めて原価を再計算し、脱中国を進めれば景気が良くなるのでは?』と考えたくなりますが、日本とアメリカとで絶対的に違う部分があります。
それは、距離です。
中国からアメリカに輸出入する場合、太平洋かユーラシア大陸を横断する必要があります。
陸路にしろ海路にしろ、日本と比べるとコストと余計に時間がかかります。
生産委託や品質管理をする場合は、中国にアメリカ人スタッフが訪問するといったことも度々有るでしょうから、それらのコストも含めると結構な差がでます。

このコスト差は、中国に発注する場合の損益分岐点に影響を与えます。
つまり、日本の場合は中国などの生産拠点に近い分だけ、中国発注した場合の損益分岐点が下がり、アメリカの場合は遠い分だけ損益分岐点が上昇します。

また、国同士の距離による、それぞれの国や文化に対しての知識に差も、仕事をする上で影響するのではないでしょうか。
日本と韓国・中国は、仲が悪いとはいわれていますが、距離が近い分だけお互いに対する知識がそれなりにあります。
どの様な国民性か、どの様な文化かということが、距離が近い分だけ情報を得やすい状態にあります。
しかし、距離が離れればどうでしょう。
中国と同程度の人口で中国以外の市場として注目されているインドは、中韓と比べて距離が離れている分、得られる情報も少なくなりますし、親近感も薄れているのではないでしょうか。
中韓と比べ、インドの人や文化に対する理解も無いのではないでしょうか。
事前に情報収集が出来る程余裕のある会社ならともかく、資本力のない中小企業の場合、そう簡単に進出できるものではありません。
日本よりも中韓から遠いアメリカは、日本人がインドに対して理解が少ないのと同様、アジアに対して理解が少ないと考えられます。

つまり、アメリカの方が撤退しやすい状態にあり、日本の方が撤退しにくい状態にあると考えられます。

アジア諸国は日本に比べると賃金が安く、中国沿岸部の中国国内から見れば比較的高所得者ですら日本人の賃金の半分程度の給料。
大学を出ていない農村部から出てきた人や、その2世の方たちの所得は日本円換算で月に2万円程といわれています。
最近民主化されたミャンマーの賃金は、これよりも低い様です。

この様に賃金の低い国が近くにあると、単純労働のような特に特殊技術が必要ではない仕事は賃金の低い海外に流出します。
単純労働が日本から海外に流出するということは、労働者が日本人から海外の方に移行するということなので、当然、日本の労働市場で人が余ることになります。

結果、労働需給の関係から労働者の賃金が下がり、単純労働の海外移転によって物価が引き下げられ、デフレと呼ばれる現象が起こっている。。
こう考えると、日本だけで長期的なデフレが続いている現象も、納得できるのではないでしょうか。

個人的な意見ですが、これらの要因でデフレが起こっている場合、日本でデフレを解消する為には、日本人とその他アジアの方々との賃金格差が無くならない限りは無理でしょう。
日本への運賃・品質差等によって、全く同じ賃金に成る必要はないかもしれませんが、賃金格差が縮まらない限りは今の状況は続くと思います。


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