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金融緩和だけで、緩やかなインフレに成るのか? その2

前回の続きです。
今回は、【紙幣の増発だけではインフレにはならない。】について。

日銀に対して金融緩和を迫る人の中には、流通している紙幣の量が少ないから、日本がデフレになっていると考えている人も少なからず存在しているようです。
その方達の考えはおそらく、『物価は金と物の相対価値なんだから、紙幣の供給を増やせば紙幣の価値は減少し、相対的に物価は上昇する。』と考えているのではないでしょうか。
テレビのコメンテーターの中には、『需給ギャップが有るんだから、その分通過を供給しないとデフレに成る』という主張をする方も存在します。

僕はこの意見は、かなり論理が飛躍しているように思えます。
何故なら、人の胃袋の容積はある程度決まっていますし、人が必要としているテレビやPCの数も、ある程度の個人差はあるとは思いますが、決まっています。
かなり特殊な人でもない限り、家に部屋が3個しか無いのに、10個のテレビを購入しようとは思いませんし、お金の量が増えたからといって食べる量が比例して増えるわけでもありません。

話は少し変わりますが、僕は以前、MMORPG系のネットゲームにハマっていたことがあります。
ゲームをやらない方の為にゲームを簡単に説明しますと、ゲーム内で行うことは主に3つです。
・アイテムやお金を得る為に、モンスターと戦う【狩り】
・ゲームのストーリーを進める為のクエスト
・自分の要らないアイテムを売却し、必要なアイテムを購入するための資金を得る【露天販売】
細かく説明すると、もっと沢山やることは有るのですが、大きく分けるとこの3つです。

ネットゲームでは、最初の項目の【狩り】によって、運営側からプレイヤーにコインが供給され続けます。
運営は様々な方法で、ゲーム内のコインの量を管理しする為にコイン回収をしようとしますが、回収しきれず、ゲーム全体で見るとコイン量は増え続けます。
これは、金融緩和が行われ続けている状態なので、普通に考えればインフレが起こります。
しかし、ゲーム内で実際にインフレがおこるのかといえば、そうではありません。
確かに、皆が欲しがるような希少性のあるアイテムは価格が上昇し続けます。
ですが、安定的に供給され続けていて、供給が需要を上回る程存在するアイテムの価格が上昇し続けることは有ません。

しかし、この様なアイテムも、ある日を境に価格が急上昇する事があります。
それがどういう時かというと
・システム改変等で、本来使用用途が無かったアイテムを、使用しなければならない状態になった場合。
・今まで短時間狩りを行えば簡単に入手できたアイテムの出現率が下がり、入手困難になった場合。
つまり、ゲーム内において一般的な物価が上昇する要因は、需要増の場合と供給減の場合のみで、通貨供給の増加によって価格変動は起こりません。
通貨供給によって価格変動するのは、希少性のある高価な物のみです。

この事実から分かることは
通貨供給を行うことによって、物価の二極化(安いものは価格変動せず、高いものはより値上がりする)ということで、政府や国民が期待するような、人件費を含めた全物価が緩やかに上昇することは無いことを示しています。

当然、現実の経済のほうがより多くの要因が複雑に絡んでいますから、私もゲーム内での事と現実の経済が全く同じ様に動くとは思ってません。
しかし、参考に出来る部分はあるのではないでしょうか。
今、通信技術の発達やPCの発達で、昔より少ない人数で会社を維持することが可能となっています。
この様な現状では企業は採用を絞る為、労働市場で人が余ってきています。
この状態で、通貨の量が2倍になれば、従業員給料は2倍になるのでしょうか。
僕はとてもそうは思えません。

今のデフレを根本的に解決する為には、供給過多と需要不足をどうにかしないと解決しないのではないでしょうか。
そしてこれらの解決は、日銀の仕事ではなく政府の仕事なのではないでしょうか。
しかし今の政府は、自分たちの責任を棚上げして、デフレの責任を日銀に押し付けています。
ですが、日銀の仕事は通貨の価値を保つことであって、雇用の創造や景気回復は仕事の範囲外です。

では、需要不足をどう解消するのか。
自民党政権時代は、民間の需要減を補うために、政府が公共投資によって需要を創造していました。
しかし、大手マスコミが公共事業を只の無駄遣いと報じ、民主党を持ち上げて政権交代させ、ただでさえ縮小傾向にあった公共事業は、大幅に削減されました。
その一方で、肌で感じる景気は、震災があった去年を上回るほど悪くなっています。
本当に無駄で、行うことで何も生み出さない公共事業は行う必要はありませんが、必要と思われる公共事業は、需要不足解消のためにも、積極的に行うべきではないでしょうか。
もちろん、ただ公共事業を増やし続ければ、日本の財政に大きなダメージを与えます。
税制改正などを含め、財政収支を見なおす必要はあるかもしれません。

次に供給過多ですが、これは、業績の悪い本来淘汰されるべき企業には、廃業して頂く様にすべきだと思います。
当然、廃業が増えればそこで働かれていた方は失業するわけですが、その方たちが路頭に迷わないように、失業者対策はしっかりと行うべきだと思います。
例えば、今労働市場では、雇用のミスマッチが起こってます。
労働市場で人が余っているにも関わらず、介護分野では人材が不足しています。
これは介護分野での労働環境が悪いことも原因があると思います。
この労働環境を改善し、供給過多の事業分野から人材を移せるようにし、供給過多を解消すれば、採算が合わないような仕事を受注する業者も減少するでしょうし、デフレの解消にも成るのではないでしょうか。

これらの仕事は、日銀の仕事ではなく政府の仕事です。
僕が文字で書くのは簡単なことですが、実際に行うのは非常に困難なことだとも思います。
しかし、政府は責任を日銀に押し付けるのではなく、自分の仕事をまっとうすべきではないでしょうか。
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