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【経済書?】デフレの正体




僕の周りの多くの人が読んでいて、結構高評価だったので購入してみました。
読んだ感想としては、期待していた割には、かなり残念な内容となっていました。

この本の内容を要約すると
【今のデフレは不景気が原因ではなく、消費者となる生産者人口が減っているから】
といったもの。
デフレや不景気を全てこの理由で片付けてしまおうというところに、かなり違和感を感じる作品となっておりました。

また、この本。
・アメリカの学者は賢いので私の話を理解できるけど、日本の学者や経営者は馬鹿ばっかりなので理解してもらえない。
・この本で紹介している資料は、全て公式発表されているものなのにもかかわらず、私ぐらいしか見ている人がいない。
といった内容が何度か出てきます。
僕の個人的な意見としては、著者が今まで出会った人が、生産者人口や年齢別人口を無視しているだけであって、企業や経済関連の仕事をされている殆どの人がこの部分を無視しているわけではないと思ったのですが…
この様な内容が数回出てきて、その様な内容を読む度に、ただ単に愚痴を言っているだけとしか思えず、読む気が削がれました。

抽象的な批判ばかりも何なので、僕が引っかかった部分について書いていこうと思います。

まず
・不景気は生産者人口が減っていることが原因で起こっている。
という根本的な部分にかなりの疑問が。
著者は、景気が悪いからものが売れないと主張している経営者や経済学者は、労働者人口も調べてない馬鹿だと主張し、景気指数と労働者人口のグラフを持ちだしてきて、互いが一致していることを主張しています。
しかし、2つのデータの一致は、労働人口と景気に【相関関係】が有ることは証明できますが、【因果関係】が有ることまでは証明できません。

【相関関係】と【因果関係】についての面白い話を以前読んだことがあるので、そのエピソードを紹介したいと思います。
掲載している本は、確か【ヤバい経済学】という本だったような気がします。(結構昔に読んだので、うろ覚えです。)



アメリカのある学者(デフレの正体の著者が大好きな【アメリカ】の学者)が、刑務所の収容人数と犯罪率に関する調査をしました。
すると、この2つのデータには【相関関係】があったのです。
犯罪率が低下している平和な時には、刑務所の収容人数は減少していて、一方で、犯罪率が上昇している時には、刑務所の収容人数が増加していたのです。
そこでこの学者は、政府に対して、こう提案しました。
『刑務所の収容人数と犯罪率との間に相関関係が有ることが判明した! 政府は、犯罪率を低下させるために、直ちに刑務所の囚人を全て解放すべきだ!』
そうです、この学者は、刑務所の収容人数が少ない時は犯罪率が低下しているんだから、囚人を開放して刑務所の収容人数を減らせば、犯罪率は低下すると思い込んだんです。
つまり、【相関関係】のみに注目し、【因果関係】を無視しだんです。

デフレの正体で主張されていることも同じです。
労働人口と景気指数に相関関係が認められたからといって、因果関係まで成立するわけではありません。
実際には、景気の先行きが不安だから少子化になっている可能性もあるのです。
例えば、高度成長期の様に中学・高校さえ出れば、誰でも就職できて安定した生活がおくれるという未来がある時代であれば、子供を生むことにそんなに心配入りません。
少子化が先進国で多く見られる現象であるのに対し、後進国では人口が増加していることから見ても、経済の成熟度合いと出生率は無関係ではないでしょう。
しかし著者は、その辺りのことを無視して持論を展開しています。
また、この理屈で言うなら、労働者人口が減っているすべての国がデフレに苦しんでいないと辻褄が合いません。
労働人口が減少している国は日本だけではありませんが、デフレに長期間苦しんでいるのは日本だけです。

次に、高齢者は自分の医療費の為にお金は使わない、これは、医療デリバティブを購入しているのと一緒なので、資産は固定化されている。
なので高齢者がいくら貯蓄しても意味はない。という主張。
この主張を日本の経済学者に言ったところ、『貯蓄は貯蓄だ』と鼻で笑われた。
同じ主張をアメリカでしたら、『その話は既に論文に書いている人がいるよ。』と言われた。
というエピソードを紹介。
その後は、『日本の学者はデリバティブもない時代の経済学を未だに信じていて云々…』といった感じの愚痴が続くのだが。
この主張も極論ではないだろうか。
日本の高齢者が、全て【タンス預金】で現金を家に保管しているのであれば、高齢者が持っている資産は固定化されるだろう。
しかし、この高齢者が銀行に預けているのであれば、銀行が資金が必要な人に貸し出すなり国債を買うなりするわけだから、経済効果はあるのではないだろうか?
日本の場合は財政赤字で毎年国債を発行しているので、高齢者が使わない分は国が使ってくれる。
そういう意味では、固定化されていようなが【貯蓄は貯蓄】なのではないだろうか。
またこの本では、若者よりも高齢者のほうが消費意欲が旺盛である事実が無視されている。

最後にもう一つ。
日本の企業は、労働者人口の増減を無視して『物が売れない』と嘆くばかりと主張されてますが、企業のマーケティング部はそこまで馬鹿ではない。
商品を売る為には、どの年齢層にアプローチすれば良いのか、というのは当然考えるべき基本であり、これを無視して商品開発をしている企業は少ないだろう。
当然、年齢層を意識しているわけだから、世代別人口も調べている。
また、『企業は生産性向上の為に人件費の削減はするが、ブランド価値の創造というアメリカで普通に行われていることはやらないし、ブランド価値創造の意味も知らない経営者がいる』と主張。
これが本当なら、トヨタの『レクサス』ブランドはなぜ生まれたのだろうか…

他にも色々と書きたいことはありますが、一番読む気を削がれたのは
【自分以外の日本人は全員バカ、アメリカ人は理解してくれるから、やっぱり賢いな】というスタンスで文章が展開されている点。
これはかなり感情的なことではあるが、本を読み進めていく上では重要なことだと思う。
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