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為替レートと産業の空洞化は関係無い

今、世間では円高円高と言われ、その円高に伴う【空洞化】が懸念されている。
僕自身も、過去の記事でその様な発言をしてきましたが。

しかし、この産業空洞化に、円高はどの程度関与しているのだろうか。
円高が進めば空洞化が進むと主張する人たちは、円安が進めば空洞化は止まると言っているのに等しい。
果たしてそうなのか?
今回は、この事について考えていきます。

日本の新聞やTVの報道で使われている【円高】は、何に対して円高なのかというと【ドル】に対してです。
ユーロなどの他の通貨と円を比べる場合、『ユーロに対して円が…』と説明文が入るので、日本で【円高】という言葉を単独で使う場合、ほぼ例外なく【ドル円相場】で円高が進んでいる事を指します。
この、【対ドルに対しての円高】が、どこまで日本の空洞化に関係があるのだろうか。
ドルに対して円が高くなった事が原因で企業が日本を離れる場合、アメリカに逃げているのであれば、話の筋は通っています。
しかし、実際にこの様な行動に出ているのだろうか。

日本国内での報道を観ていると、今現在の日本の企業は、円高を理由にしてアメリカには逃げていない。
ではどこに逃げているのかというと、中国・韓国・ベトナムなどの、労働賃金が低いアジアに逃げている。
ドル安が進んでアジアに生産拠点をうつすということは、アメリカドルとアジア各国の通貨は固定相場なのかというと、そうでもない。
確かに、中国はリーマン・ショックの経済危機後に、元高圧力が高まる中で中国元を介入によって売りまくり、対アメリカの貿易黒字を外貨準備に移すことで、一時的に米ドルと元を固定した。
しかし今現在は、中国政府は介入は継続してしてはいるが、徐々に元を切り上げてきている。
つまり、中国の為替レートはドルペッグ(ドルとの固定相場)ではないということ。
この状態で、ドル安が進むと空洞化が進むという理屈は、筋が通っていないのではないだろうか。

先日WBSが、自動車のピストン部品を製造している会社が、海外展開するかどうかを決める会議に密着取材をしていた。
その会社は、ピストン部品でタイの会社と競合していたのだが、価格差が異常なほど開いていた。
日本メーカーの製品が2万円なのに対し、タイの会社は1980円で販売していた。
当然のことながら、日本メーカーの部品とタイメーカーの部品との品質差は明らかで、日本メーカーが製造していた部品のほうが品質は遥かに良かったのだが、価格に圧倒的な差がある為に、タイメーカーに負けてしまったそうだ。

価格差が10倍というのは、対ドル相場で3割円高になったからというのでは到底説明できない。
この価格差は、明らかに後進国との賃金格差が原因である。
賃金格差が原因なのであれば、この先どれだけ対ドルで円安が進もうとも、日本の空洞化は避けられないのではないだろうか。

では日本の産業は、今後どうなってしまうのか。
先ほど例に出した日本のピストン部品メーカーは、海外進出をして、海外の安い労働力で低品質低価格の部品を量産するという決断は下さなかった。
メーカーとしてのプライドが、低品質のものを作るという考えを受け入れられなかったのだろう。
ではどういう方向に進んだのかというと、ピストン部品に2万円出しても良いから、【高品質】な部品を必要としている分野に対して、営業をかけていくという方向に進んだ。
この決断が、会社にとって正しいかどうかはまだ結論は出ていないが、このメーカーの行動にこそ、日本の進むべき道へのヒントがあるのではないだろうか。

価格にのみ注目し、それなりのものを価格で提供しようと思えば、賃金の安い国に出ていかなければ採算は合わない。
その為、為替レートに関係なく、これらの製品を生産しているメーカーは海外に出ていくだろう。

日本の空洞化に立ち向かうために日本がしなければならないことは
日系メーカーが製造している【made in チャイナ】や【made in タイ】の製品ではなく、日本人が日本で創った【made in japan】の製品にこそ価値があるとお客様に思っていただくことが、日本が物作り国家として生きて行く為に最も重要なことではないのだろうか。
車は安くなければ売れないのであれば、ポルシェはとっくに倒産している。
バッグを買う際、皆が値札しか見ないのであれば、エルメスのカバンなど存在しないだろう。
日本が進むべき道は、日本ブランドの創造ではないだろうか。
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